2012年7月 №50
話題に上って久しいのですが、ようやく三浦しをん著『舟を編む』を読み終えました。広辞苑のような辞書を作る話。その編纂作業に関わった青年を軸に、彼をとりまく人々、彼や先輩編集者らの恋愛話、辞書に命にかけた先生の話などなどたくさんのお話を辞書のできるまでの工程〈なんと15年間かかったのです〉に盛り込んだ小説です。辞書の紙のぬめり感に触れたくて何度も辞書を繰ったり、言葉に対して熱い思いに浸ったりと、さすが本屋大賞に選ばれた本、と嬉しくなりました。読み終えた日に映画化されると知り、どんなふうに 画面で再現されるのか、楽しみです。
「文芸たかだ井東汎賞」佳作を受賞された古川実記さんと新潟市でお会いしました。夏の日差しによく映えるターコイズブルーのワンピース姿の彼女はまるで女優さんのようです。不躾な質問にもニコニコと明確に答えて下さいました。実は彼女、ピアニストです。4歳からの英才教育が実を結び、ベルリン芸術大学に進学、9年間ドイツで研鑽を積み、今、ピアノ教師、りゅーとぴあのパイプオルガン奏者として、音楽活動に邁進、今月末からドイツへコンサートツアーに行かれるそうです。えっ、では文学活動は?高校の時から書き始め、最初は脚本家を目指し、今は小説を楽しみながら書いています。受賞作もそうでしたが、想像力が豊かに働く時代物が好きだそう。新潟市民文学賞の常連で、戦国時代・江戸時代の話がすらすらと出てきます。ちょっと恥ずかしそうに「上杉を書きたいのです」。ぜひぜひ来年、応募してください。「実は、後藤丹先生〈上教大大学院教授〉に高校2年の時、作曲理論を教えて頂きました」とクスリ。後藤先生、彼女はこんなに大きくなって綺麗に開花しましたよ!!
《事務局より》
例年よりも一足早く梅雨が明け、上越にも暑い夏がやってきました。最近加齢のせいか汗かきになり、手放せないのが首から下げるタオルです。それも高級なふかふかのものではなく、何度も水をくぐって繊維が毛羽立っているようなシロモノがいいのです。庭先はもちろん、近所のスーパーへもタオルを下げたまま行ってしまう私はオバサン以外の何者でもありません。困ったものです。(荻谷)